性能ラボ
2050年を見据えた健康住宅 第7弾「2050 STANDARD HOUSE PROJECT×ノーブルホーム」前編

住宅は命と健康を守るもの。この理念のもと全国の工務店が参加する2050 STANDARD HOUSE PROJECTでは、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、耐震・省エネ・健康・断熱を重視した家づくりを推進しています。ノーブルホームもこのプロジェクトに参画し、2023年に性能ラボを立ち上げました。住まいの性能強化を進める中で、高気密高断熱住宅の権威である松尾和也氏に監修いただいて開発したのが松尾式住宅です。
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松尾先生からのコメント
「松尾式住宅では、エアコンをつける前の段階で、冬はどれだけ暖かくできるか、夏はどれだけ涼しくできるかを徹底的に追求しました。断熱性を強化し、気密性を高め、夏は直射日光が入らないように、冬は逆に直射日光がたくさん入るように設計しています」
今回は2050 STANDARD HOUSE PROJECT発起人であり、一般社団法人日本人の健康をつくる住宅断熱リフォーム推進協議会(以下、健断リフォーム推進協議会)事務局長の小松昭氏と、ノーブルホーム性能ラボメンバーの上野が対談。健康に直結する住宅性能について、ノーブルホームの取り組みとともに深掘りしました。
目次
2050 STANDARD HOUSE PROJECTが目指す健康住宅
今から25年後の2050年。今から家を建てる人は、その時も同じ家に住み続けているはずです。カーボンニュートラルが実現し、持続可能な社会が求められる時代においても、スタンダードな住宅として価値を保ち続ける。それが2050 STANDARD HOUSE PROJECTの目指す姿です。
小松氏「2050 STANDARD HOUSE PROJECTでは、文字通り2050年においてもスタンダードな住宅として価値を保ち続ける家を目指しています。未来の持続的な発展を約束した時にも、スタンダードな住まいであり、資産性を保てる家を提供していこうという意図で作りました。今では全国のトップビルダーに加盟していただき、情報共有をしています」
上野「ノーブルホームもこのプロジェクトに参画し、2023年にはお客様に本当に良い家を提供するための社内組織『性能ラボ』を立ち上げました。室温や空気環境など、健康に寄与する住空間の提供を目的にしています。商品開発部門だけでなく、技術・工事・営業部門から選抜したメンバーで構成し、松尾先生をはじめとする専門家の方々から研修を受けたり、一緒に商品開発を行ったりしながら、技術力を高めています」
健断リフォーム推進協議会が掲げる 住環境の改善がもたらす「健康価値」
室温と健康との間には相互関係があることが様々な研究で明らかになっています。
小松氏が事務局長を務める健断リフォーム推進協議会は、断熱リフォームが「日本人の健康につながる」というエビデンスに基づき、 生活者の“健康の常識”を変えるパラダイムシフトを目指しています。
これまでのリフォームが「壊れたところを直す」ことに主眼を置いていたのに対し、この協議会が目指すのは健康性向上のための住環境そのものの改善です。
小松氏「私たちは生活習慣病を防ぐために、運動したり、サプリメントを飲んだり、良い枕を買ったりと、いろいろなことをしていますよね。でも、どんなに頑張っても、家の中が暑すぎたり寒すぎたりしたら、体の免疫力は最大限に働かないんです」
上野「室温や湿度といった、住環境そのものが大切だということですね。たしかに慶應義塾大学の伊香賀名誉教授の研究データでも、科学的に住宅の温熱環境と健康の関係が証明されているのを拝見しました。日本の住宅の9割がWHO基準の『冬の室温18℃以上』を満たしておらず、さらに温暖な地域ほど断熱対策が不十分なので冬の死亡率が高いというデータには衝撃を受けました」
小松氏「そのデータは本当に重要です。断熱改修で年間約1.5万人の命が救えるという試算もあります。今住んでいる家でも、働いているオフィスでも、生活環境を改善していくことが、健康に直結するんです。ノーブルホームさんが開発された松尾式住宅も、まさに健康を軸にした家づくりですよね」
上野「はい。松尾先生に監修いただきながら、健康な住環境を実現するために、住宅そのものの基本性能を徹底的に高めることを目指しました。健康は何よりも大切なので、性能ラボでは常にそこを考えて活動しています」
引用:(一社)日本人の健康をつくる住宅断熱リフォーム推進協議会 (2025)『住まいの温熱環境が健康を守る「生活習慣病」を防ぐ家へ』
松尾式住宅が実現する健康な住環境
ノーブルホームが開発した松尾式住宅は、エアコンなどの機械に頼る前の段階で、住宅そのものの性能を極限まで高めることを最大の特徴としています。
上野「冬は床下エアコンで足元から温める方式を採用していて、1階の床が22℃なら、空気温度が21℃、2階が20℃と、上下の温度差を小さく抑えられます」
健康な暮らしを支える最も重要な要素の一つが睡眠です。日本人の6割が睡眠に何らかの問題を抱えているといわれる中、住宅が睡眠環境に与える影響は計り知れません。
上野「人生の3分の1以上は寝る時間なので、睡眠環境は本当に大切です。高い断熱・気密性能によって、家全体をゆるやかに空調し、温度差のない理想的な睡眠環境を実現しています」
小松氏「換気システムも重要なポイントと伺いました」
上野「はい、第1種換気システムを採用しています。狭い寝室で家族で眠ると、室内の二酸化炭素濃度はとても高くなります。第3種換気より第1種換気の方が二酸化炭素濃度が高くなりにくいので、これも健康面でのメリットの一つです。また、第1種換気は最低でもC値が1を切っていないとしっかり機能しないので、気密性能も重要です」
そして、松尾式住宅のもう一つの大きな特徴が、トルネックスという空気清浄機を組み込んだ空気清浄システム。外壁の外側で虫などの大きなゴミを遠心力で取り除いた後、トルネックスで排気ガスのような細かい粒子を取り除いてエアコンに送ります。
上野「花粉症やアトピーの方には、特に効果を感じていただきやすい機能だと思います。普通の空気清浄機だと家全体で4台程度が必要で、購入費用だけで10万円以上かかるので、経済的なメリットも大きいですよ。フィルターは電磁式で水洗いができるので、高いフィルター交換も必要ありません」
科学的エビデンスに基づく住まいづくり
松尾式住宅は単なる省エネ住宅ではなく、科学的エビデンスに基づき、住まい手の健康を総合的にサポートする「健康住宅」として設計しました。
小松氏「ノーブルホームさんが大切にされていることは何ですか」
上野「家づくりにおいて『見えない部分』を一番大切にしています。構造、断熱、空気、耐震。家が完成したら見えなくなってしまうものこそが、暮らしの土台です」
小松氏「まさに2050 STANDARD HOUSE PROJECTが目指す姿ですね」
上野 「はい。25年後の2050年においても価値を保ち続ける住宅を、今から提供していく。それが私たち性能ラボの使命です」
後編では、これらの性能を実際に体感できる宇都宮ショールームの取り組みと、住宅の資産性に関するノーブルホームの考え方をお伝えします。
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