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美しい空間は、人のストレスを軽減するのか 第10弾 山田秀和先生×ノーブルホーム【前編】

美しい空間は、人のストレスを軽減するのか 第10弾 山田秀和先生×ノーブルホーム【前編】

ノーブルホームの性能ラボコラム第10弾。 今回はアンチエイジング研究の第一人者である山田秀和先生をお招きし、性能ラボメンバー上野との対談をお届けします。

 

テーマは、住まいと健康、そして「見た目」の関係について。

 

断熱性や気密性を高め、室内の温度差や身体への負担を抑えること。こうした住宅性能と健康の関係については、これまでもさまざまな研究が進められてきました。 しかし、住まいが人に与える影響は、それだけなのでしょうか。

 

好きなインテリアに囲まれること、心地よい空間でくつろぐこと、新しい家での暮らしに期待を膨らませること。そうした日々の感情やストレスの変化は、人の健康や表情にも影響しているかもしれません。

 

これまで数値で語ることが難しかった「住まいが人を前向きにする力」を、山田先生とともに検証していきます。

目次

山田先生のプロフィール

 

山田 秀和 氏(やまだ ひでかず)/抗加齢医学・美容医療研究の第一人者

 

2025年大阪・関西万博 大阪パビリオンにて「老化評価ディレクター」を務め、AIや最新科学を用いた「10歳若返り」プロジェクトに取り組み、医学だけでなく、薬学・農学・運動科学・心理学などを融合した包括的な抗加齢医学を推進している。

•近畿大学アンチエイジングセンター 創設者
•大阪大学大学院医学研究科 遺伝子幹細胞再生治療学 招聘教授
•大阪公立大学大学院 医学研究科皮膚病態学 客員教授
•日本抗加齢医学会 前理事長(現理事)
•日本再生医療抗加齢学会 副理事長
•日本化粧医療学会 理事/日本皮膚科学会 専門医
•日本東洋医学会 専門医/日本抗加齢医学会 専門医
•日本人の健康をつくる住宅断熱リフォーム推進協議会 理事

健康を支える4つの要素と「環境」

上野「山田先生は、アンチエイジングや美容という視点から、住宅にはどのようなことができるとお考えでしょうか」

 

山田先生「私がアンチエイジング研究を始めた当初は、美容とはほとんど関係がなく、現在でいうロンジェビティ、つまり健康寿命を延ばすことを目的としていました。見た目についても、単に若く見えるかどうかという話ではありません。姿勢や体格には、その人の健康状態が表れることがあります」

 

山田先生によると、人の健康を考えるうえでは「運動」「栄養」「精神」、そして「環境」という4つの要素が重要になります。
このうち「環境」には、大気や気候といった地球規模のものだけでなく、私たちが日々過ごす住宅や職場も含まれます。

 

山田先生「気温が40℃を超えるような時代になり、家は単に雨風をしのぐ場所ではなく、人の命や健康を守るシェルターとしての意味を持つようになりました。以前は冬の寒さやヒートショックが主に語られていましたが、今は夏の暑さから人を守ることも大きな課題です」

 

一年を通して室内の温度差を小さく保ち、外の環境が厳しくなっても住む人の身体に負担をかけない。ノーブルホームが断熱性や気密性にこだわり続けてきたのは、それが快適さのためだけでなく、健康を支える土台になると考えているからです。

 

美しい空間は、人のストレスを軽減するのか

住宅が健康に与える影響を考えるとき、室温や湿度といった物理的な環境に目が向きがちです。しかし山田先生は、住環境が人の「精神」に与える影響にも注目しています。

 

上野「住まいやインテリアは環境の一部ですが、同時に、精神にも大きな影響を与えるのではないでしょうか。自分が美しいと思える空間や、好きなものに囲まれることも、人の健康や幸福につながるように思います」

 

山田先生「まさにその通りです。老化に関係する遺伝子を調べていくと、働きがよく分かっていないものが数多く出てきます。そして、そのかなりの部分が、ストレスと結びついているらしいのです」 上野「ストレスが、それほど大きく関わっているのですね」

 

山田先生「最近では、緑の多い場所に住む人や、月に一度は美術館に行くような人のほうが良い結果が出る、というデータも報告されています。仕組みまで分かっているわけではありませんが、おそらくストレスから解放されることが効いているのだろうと考えています」

 

対談の中で山田先生が例に挙げたのは、身近なカフェの空間でした。

 

山田先生「同じコーヒーショップでも、なぜ多くの人が特定の店を好むのか。そこには解放感があって、なんとなくリラックスできて、しかもコーヒー豆の香りがある。また、置かれている机や椅子が、自分の家にも置きたいと思えるようなものなんです 」

 

上野「確かに、いま私がいる場所のすぐ後ろにも、ハンス・J・ウェグナーの「ザ・チェア」を思わせる椅子が置かれています。本物ではありませんが、その形が空間の印象をつくっているように感じます」

 

山田先生「そういうことなんです。私たちが特定の家具を良いと感じたり、カーテンやファブリックにこだわったりするのは、なぜなのか。そこには理由があるはずなんです」

 

なぜ美しいものを見たり、心地よい場所で過ごしたりすると、人は落ち着くのでしょうか。 その仕組みのすべてが解明されているわけではありません。しかし、空間によってストレスが和らぎ、気持ちが解放されることは、多くの人が感覚的に経験しています。

 

デザインの価値を、データで捉えたい

人は家具や照明、ファブリック、食器などを選ぶとき、機能だけでなくデザインにも価値を感じます。同じ用途を果たすものであっても、「こちらの方が心地よい」「このデザインに囲まれて暮らしたい」と感じることがあります。

 

山田先生「なぜ、ある家具や建物、車、食器を見て、私たちは美しいと感じるのでしょう。しかも古いデザインを見ると、どこか古く感じる。
デザインには、人に何らかのメッセージを伝える力があるはずです。私はその見た目の価値、メッセージ性を知りたい。そしてその価値を、将来的にはデジタルデータとして捉えたいと考えています」

 

ノーブルホームが目指しているのも、性能とデザインのどちらか一方を選ぶ家づくりではありません。一年を通して快適な温熱環境を整えたうえで、住む人が心から好きだと思えるデザインやインテリアを実現する。その両方がそろうことで、住まいは身体を守るだけでなく、心を整える場所になると考えています。

 

後編では、住環境の変化が人の表情にどう表れるのか、そしてそれをどのようにデータとして捉えていくのかについて、山田先生にさらに伺います。